カテゴリ:ふるさと雑感( 42 )

 

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

ウンベ(ムべ)

中山先生の喜寿の祝いが文化通りであった日 京都から祝いに馳せ参じてきた
サダノリとマサアキと3人で 野間岳に登ってみようということになった
その日は秋晴れの雲ひとつない いい天気で 野間神社に11時ごろ着いた
神社の脇から登りだす 登山道のあちこちに つわぶきの花が 晩秋である
晩秋とはいえ 九州南端の山では 山肌を紅黄に染める木々は少なく 
ほとんどが常緑の鬱蒼とした照葉樹で 頭の上も深い緑に覆われている 
その中に真っ青な空が

昨年ユウヘイ君と登ったときは 頂上で彼を小一時間ほど待ったが
今回の2人はいたって元気である 
とくにサダノリはマラソン大会に出るぐらいであるから ケロッとしている
頂上近くの急な岩場を 先に行くよと ピョンピョンと飛ぶようにして
登っていき あっという間に姿が見えなくなった
頂上に着くと 先に行ったはずのサダノリがいない
何処に行ったのだろうかと思いながら 昼飯のラーメンのお湯を沸かしていたら
サダノリが登ってきた 手に何かをぶら下げている
ウンベである やや小さいがよく熟れている 
何処で見つけたか聞くと 頂上のすぐ下で見つけたという
しばらくしたらマサアキも登ってきた
昼飯を食いながら ウンベ アケビの話がはずむ

十五夜が過ぎ 秋が深まると 学校から帰り近所の悪童達と
近くの山にアケビを取りにいくもので
藪に分け入り 蔓の先にポッカリと割れたアケビを見つけた時の喜び
そして口に入れると えもいわれぬ甘さがじわっとひろがり・・・
秋ならではのささやかな山の恵みであった
アケビは近くの山でわりと簡単に見つけることができたが
ウンベはなかなか 見つかるものではなかった
どっちかというと ウンベの方がアケビより大きく食べ応えもあり
ありがたいものだったが

サダノリは山の子であったようで アケビ ウンベには詳しい
登ってくる途中も これはアケビの蔓 あれはウンベの葉っぱと
講釈のせがらしいこと
どうやら先に登って ウンベを探していたようだ
サダノリ先生によると もう時期遅れではあるが よく探せばまだあるという
それなら祝いの席の みやげにしょうということになった
30分ほどで昼飯をすませ 今度はサダノリ先生についてウンベ取りである
どこから見つけてきたのか 先生が先っちょに又のついた長い木の棒を持っている
その棒を使い これはカッコちゃんに これはヒサちゃんに これはイッちゃんにと
木の上に這っている蔓から上手に取る
そしてその晩の女性陣の数ほど取ると
よぉ〜し 来年は サダオとコウゾウを いやアキオとマリちゃんも 連れてこよー と
得意満面のサダノリ先生であった



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by minnamiya | 2016-11-13 15:00 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

                            傍聴の記

今年は梅の開花が遅く  我が家の梅もやっと見頃になった
その梅の花に冷たい春の雨の降る晩  
京都から正ちゃんがきたので  文化通りに出かけて行くと
カウンターで  幸ちゃんといっしょにビールを飲んでいた
今年になり幸ちゃんに会うのは三回目になるが  
いつも風邪ぎみで元気がない  川辺二日市も休みであった
ここ数年楽しみにしていた  幸ちゃんの 菜の花のなかを行くお遍路姿は
この春も見れそうにないようだ
元気のない幸ちゃんだが  相変わらずビールの方は美味しいらしく お代わりである
三人でお遍路や熊野詣で  ワイワイやっていると ミタケ議員がやってきた
今市議会の会期中で  ゆっくりと酒を飲む暇もないとのことである
その忙しいミタケ議員と ひとこと喋っただろうか
いつのまにか ユウヘイ君もやって来て隣に座っている
そうなれば類が類を呼ぶで  東京から帰省中のケイシロウさんまでも呼び出され
カウンターにずらりと並び   川辺二日市から四月の東京での同窓会や
来年の福岡での同窓会と話がはずむ
そして明日ミタケ議員が議会で一般質問にたつという
酒の上での話しは  いやがおうでも盛り上がるもので  
まだ誰もミタケ議員の  議会での雄姿を見たことがなく
ミタケ議員をひやかしに  いや応援に  みんなで行くことになった

翌日朝10時前に  幸ちゃんと正ちゃんといっしよに市役所に行く
ケイシロウさんはまだ来ていなかったが  10時の鐘が鳴ったので先に議場に入った
議会を傍聴するのは初めてで  傍聴席は議場より一段高く  二階席である
正面に市長をはじめ市の執行部の面々が座っている
それに対して傍聴席のすぐ下に議員の席があり
質問する議員は議員席の一番前にたち  市の執行部を相手にやり合うのである
すでにミタケ議員の質問が始まっていた
シーンと静まりかえったなか声が響く  しばし緊張
その日のミタケ議員の質問は  ふるさと納税にたいする市の取り組みから
南さつま市の一大イベント吹上浜砂の祭典
そしてこれからの南さつまの観光振興についてと
南さつまを元気にするにはどうするかということであった
質問の内容も的を得ており  彼特有のあの抑揚を抑えた低い声で
ボッケボッケした中にユーモアを交えながら展開していく
なかなかいい調子で進んでいる
後ろから見れば白髪もめだってきたが  あの不倫議員よりもはるかにかっこいい
よぉ〜  大蔵屋  と声のひとつでもかけたいところである
そして質問も 佳境に入ったころ
突然議場に携帯電話のベルがなった  一瞬議場が凍りつく
議員席のなかから聞こえてくる    不心得な議員もいるものだ
呼びだし音が数秒ほど続く ・・・
やっと止まった   そして再開  ・・・
ほどなくミタケ議員の質問が終わった  
持ち時間を無難にこなし  内容も彼の思いのこもった前向きな質問で 
同級生としてホッとする  拍手したいところだ

初めて傍聴席に座り
目の前で行われている我が町の  政  を傍聴しながら  いろんなことを考えた
原発や安保法制にゆれる我が国のことや 中国  北朝鮮  韓国など近隣諸国を
そして世界の警察官たるアメリカの大統領選挙のことなどを
どれひとつとっても  人のやること  政  となれば難しいもののようだ
先日NHKのテレビで  没後20年ということで
司馬遼太郎の特集があり  その中で  公  ということが出てきた
公  を辞書で調べるといろんな意味があるが  
私なりには  大きな視野にたった私心の無い  と解釈している
この  公  というお伽話のような意識があれば  
昨今の目を覆うような議員達の不詳事はないだろうし
諍いもなくなり 人の世ももっと住みやすくなるような気がする

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by minnamiya | 2016-02-26 07:53 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

大根葉

この一週間毎日行っていることがある 大根の間引き菜で漬物をつくることである
母がつくっていた さえん畑 を 荒らさないようにと 
10月の後半に 大根の種をまいた 
畑仕事には慣れていないが 母のやっていたことを思い出しながら
堆肥と石灰をまき 鍬で耕し畝をつくる 
近くのスパーから 大根の種を買ってきて
袋の裏側に書かれている通りに 種をまいた
10月は晴天続きで 夕方は水をやり 待つこと20日あまり
その大根が間引きする時期になった
間引き菜を水洗いし 日陰でしなっとなるまで干す 
それを軽く揉み 塩をふり 重しをのせて一晩おくと 
あくる日は立派な漬物になっている 
それをきざみ 少々醤油で味をつけ鰹節をのせる 
朝のお茶を飲む時の漬物である
自分で育てた大根葉 もちろん無農薬
やや苦みのきいた大根葉特有の食感がたまらない
お茶うけだけでなく 炊き立ての新米にかけ 食べるということなし
ぜひ時間と余裕のある方はお試しを

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by minnamiya | 2015-11-10 09:06 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

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けんぼうの夢想話
山想えば 人恋し  番外編

嘉門次小屋で岩手の玉田さんよりいただいた47年前のドラマです


昔は山男だった 
伊奈かっぺい
別冊山と渓谷1993年1月2日発行

記憶をたどると、私は二十歳。なんと二十五年も前の話。
入社して一年目の秋だ。入社してからも定休日を利用して、
せいぜい一泊ぐらいの山歩きは続けていたが、
ここいらあたりでドンと一発 ─ 。
山歩きを始めた頃から、一度は登ってみたいと思っていた槍ヶ岳、穂高岳、
いわゆる北アルプスの縦走を思いたった。
会社の上司に一週間の休暇を申し込む。
いわく、いまだかって、入社一年目の新入社員が一週間もの休みをくれと申し出た前例はない。
当然、一週間もの休みを取らせたという前例もない。
前例がないというなら、私がその前例なろうじゃありませんか……。
若さゆえの強引さだったのだろう。二、三のやり取りで私は 前例 を勝ち取った。
青森から寝台特急に乗り、上野。上野から新宿。松本から松本電鉄で新島々、
バスで上高地。
あこがれの河童橋から槍・穂高は顔を見せてくれるだろうか。
河童橋から槍は見えるんだっけ……。
山のガイドブックを買い集めて計画書を作りあげた。
気軽なひとり歩きだ。天候がおもわしくなければ、ただの観光客になればいい。
ウエストン広場を歩き、田代池、大正池を愛で、傘をさして徳沢あたり。どっかに
氷壁 の文字でも探してみよう、だ。
予定通りに上高地に入り。
嘉門次小屋で、思わぬ奴に会った。
高校の山岳部の一年後輩T君だ。今は神奈川にある大学にいるという。
卒業してからは年賀状すらやりとりしていないT君だ。
なんで、こんなところに、どうしてお前がここにいる、
で大いに盛りあがったのはいうまでもない。
聞けば、彼も一人、槍・穂高をぶらついてみようとやってきたのだそうだ。
幸い翌日は天候もよし。一人歩きの二人が一緒になって槍ヶ岳を目指した。
思わぬ道連れを得て、山男 あるまじき馬鹿っ話をしながら、
徳沢、横尾、一ノ俣、その夜は槍沢ロッジだろうか。
槍ヶ岳の真下といっていいだろうか、槍ヶ岳山荘。
売店の前に陣取ったふたりは、金ダライにあたためられている日本酒のワンカップを
一本、二本、もう一本と飲み干し、
その夜の槍ヶ岳山荘在庫の日本酒をすべてカラにした。
お客サンたちは、どちらから?
ふたりとも元々は弘前だ。
弘前というと、あの青森県の弘前で? 
そうだ。
どおりでお酒がお強よくて、と半ばあきれ顔の山荘人。
決めは寝袋の中でのウイスキー。
翌日は多少ふらつきながらも、槍ヶ岳に登り、大喰岳、中岳、南岳……。
北穂、奥穂、前穂……。山を歩いたというよりは、小屋での酒盛り合戦。
ようやく、ふり出しの嘉門次小屋についた時、ふたりの身体はほとんど奈良漬けの態。
念願の槍穂歩いて来たんだから、今夜は祝杯……。
あくまでも、こりないふたりだった。
酒がまわって、ちょいと声高になった頃、
見れば、こんな在り様が本物の山男、と言わんばかり山男が一人。
どちらからです?
お一人ですか?
あしたの登りですか?
お帰りですか?
ごいっしょに飲みませんかね?
聞けば一人。名古屋から。我々とは少しズレたコースで歩き明日は帰るという。
では、まず一杯……。じゃ明日は同じコースで上野まで。
けっこうですなあ、と最後の夜は三人で盛りあがる。
うむ。本物風の山男も、お近づきになれば、ほとんどコッチと一緒だ。
宿酔いのまま目覚めた嘉門次小屋の朝。昨夜の酒の勢いが残っている三人。
どうです?バス乗って、電車もよいけれど、三人揃って乗りゃ、
タクシーで帰るという手もありますが?
けっこうですなあ、タクシー。しかし、どうせ一台のタクシーに乗るなら、
三人よりも四人の方がひとり当たりの負担は軽い。
どうせ、もうひとり探すなら、男より女の方が気分はいい。
意見は合った。しかし、さすがにスカートはいてハイヒールの女性には声掛けにくい。
バス停あたりに一人の女性。服装と靴から判断して山歩きの女性に間違いない。
どちらまでですか?
コレコレの事情で、三人、松本までタクシーで行こうと思っているんですが、
ご一緒にいかがでしょう。
同じ山歩きの仲間だと思ってくれたのか知らないが、タクシーの相乗りの件は引き受けてもらえた。彼女を交えて四人は、タクシーの中で改めて自己紹介のようなやりとりをしたが、
その後は当然のごとく、質問はすべて彼女に向けられた。
途中から、にわかに男三人の口数が減っていった。
彼女の名前はM子さん。栃木県のある学校で事務職員をしているという。
M子さんのお兄さんは山が大好きで、何度も槍ヶ岳や、穂高連峰を歩いていたという。
数年前、そのお兄さんが槍ヶ岳の頂上付近で、ベルトのバックルに落雷を受けて死亡してしまったのだそうだ。両親は高齢で、とても兄が死亡したという槍ヶ岳へ登れないし、
自分だって山歩きは素人で、その場所には行けそうにはないし、行ったこともない。
せめて一年に一度ぐらいは、こうして上高地を散策して、
兄の供養の真似事をしているつもりです……。
三人の男から、もう酒の気は消えていた。
お兄さんが死亡した、だいたいの場所は人づてに聞いて知ってはいるのか?
よし、来年は登ろう。
来年は、一緒に槍ヶ岳に登ろう。
連れて行ってくれる人がいるなら、私も一度は兄の死んだ場所に行ってみたい……。
話はまとまった。来年の秋、必ず四人で槍ヶ岳に登ろう。
約束は九月。日付は四人で、それぞれメモをとった。
その日は、夕方六時をめどに、中日新聞上高地支局の前で会おう。
そして上野で四人は別れた。栃木へ、神奈川へ、名古屋へ、青森へ。

その後の一年。それぞれ一度ぐらいの手紙のやり取りはあっただろうが、
ほとんど連絡は無かったといっていいだろう。
約束の日に向けて私は青森を出た。
みんな、忘れてはいないだろうか、果たして約束通りに集まるだろうか……。
まずは新宿駅のホームで神奈川のT君と会った。
覚えてたか?       忘れるもんか?
とりあえずふたりは揃った。
上高地はすでに薄暗くなっていた。
約束の中日新聞上高地支局に近づいた時、向こうから呼ぶ声が聞こえた。
名古屋のIサンだ。
よく覚えてたね。     忘れるもんか。
それにしても、よく覚えていたもんだ。
三人がそれぞれ、彼女のお兄さんが好きだったというサントリーレッドの大ビンを背負っていた。名古屋と神奈川と青森で買ったウイスキーが上高地に集まった。
次のバスも、次のバスにも、彼女は姿を見せなかった。
バスが来るたびに三人はバス停に走った。
約束を忘れたのだろうか。
はじめから男三人を信用していなかったのだろうか。
日付を間違ったのだろうか。
その夜は、嘉門次小屋で 神奈川のウイスキー が空になった
翌日、彼女を待たずに三人は出発した。途中の小屋で 青森のウイスキー が空になった。
槍ヶ岳。標高三一八〇メートル。
名古屋のウイスキー が山頂からばらまかれた。
三人は、彼女と彼女の御両親の代わりに山頂で手を合わせた。
そして落雷に遭った現場と思われる場所から数個の小さな石を持って、山を降りた。
再び嘉門次小屋。
彼女から伝言が入っていた。
学校の行事とぶつかり、どうしてもいけなかった。申し訳ない─と。
伝言にあった彼女の家に電話をいれる。
ちゃんと登ったぞ。ちゃんとウイスキー飲んでもらったぞ……。
彼女は電話口で泣いていた。
翌日、男三人は栃木の彼女の家を訪ねた。
仏壇に槍ヶ岳の小石を供え、再び手を合わせた。
ご両親も彼女も、ずっと泣いていた。

あれから二十五年だ。
名古屋の伊藤さんは、今は仙台にいるらしいと、弘前に帰って郵便局長をしている、
かつて神奈川の玉田君から聞いた。
栃木県黒磯市の雅子さんについては、もう何もわからない。
元気だろうか─。

昔は山男だった。この原稿を書きながら、気持ち、今も山男だ。
他人にとっては、ただの青くさい思いで話だろうが、
四人は確かに上高地に、いた。


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番外編2
南さつまのかつての山男3人

1972年10月

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by minnamiya | 2015-10-13 09:17 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

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けんぼうの夢想話

            山を想えば人恋し

還暦を過ぎてから 年に1・2回は中央の山に登りたいと思っていたが 
今年は7月に母が旅立っていき 入院 葬儀と忙しくその期会がなかった 
母の忌明けも終わり 涸沢の紅葉を母にも見せたくて出かけて行った
南の端からは飛行機の関係上 どうしても思うようにはいかない
上高地に夕方着き その晩は明神池のそばにある嘉門次小屋泊まりである
山小屋ではほとんどが初対面の人たちと一緒に晩飯を食うことになるが
その晩は私の前には大阪から来たお嬢さん その隣が岩手からの 元郵便局長さん 
私の隣が沖縄の青年という老若男女の組み合わせであった
最初はぎこちないが ビールなど飲むうちに打ち解け 話が始まる
沖縄の青年は涸沢からの帰りとのこと 他の3人はこれから涸沢に行くのである
どうしても涸沢・穂高の話となる
沖縄の青年は初めて本土の山 それも穂高に登り 涸沢の紅葉をみることができ 
感動したことを
大阪のお嬢さんは 涸沢は初めてとのこと どうしても涸沢までの時間のことや 
穂高まで登りたいが 登れるだろうかと
岩手の元郵便局長さんは 私より一つ年上で40数年前学生の頃 
槍ヶ岳から穂高を縦走し この小屋に泊まり 
囲炉裏端で酒を飲んだことを懐かしく語る
私は私なりの涸沢を穂高を語る
ビールから酒になり まず一杯 さらにもう一杯
話がはずみ 晩飯の席では終わらず 二次会となった

二次会はここの名物囲炉裏をかこんで飲み直しである
すでに先客が数人おり そこに割り込む
囲炉裏の真ん中には榾火がちょろちょろ燃えており 煙のいい匂いがする
火を囲むと人の本能だろうか 安らぎを覚え どこかほっとする
囲炉裏が日常から解き放たれた時間をつくり さらに酒が進む
2・3杯お代わりしたころ 元郵便局長さんが 紹介したいものがあると
部屋に帰り紙切れを持ってきた 22年前の山の雑誌 山と渓谷 に掲載された
記事のコピーであった
薄暗い中で目を細めて読むと 山のエッセイで40数年前 槍ヶ岳 穂高
嘉門次小屋 上高地でひとつのドラマがあったことが書かれてあった
そのドラマの中の一人が元郵便局長さんである
酒でほんわかとしたなかで そのドラマのひとつひとつのシーンを
私なりに想像し その中に入っていく 時間が止まる
大阪のお嬢さんや沖縄の青年は 若いからどう感じたかはわからないが
私は元郵便局長さんとは同世代であり 同じころ槍・穂高に登ったことがあり
まるで自分のことのように響くものがあった
しばらくはそのドラマのことで話が続いた

人はなぜ山に登るのか 山がそこにあるから 余りにも有名なことばである
山に登ることじたい その人にとってはドラマである 
そこで 沖縄の青年に 沖縄からここまで来たドラマを聞いてみた
涸沢の日本一の紅葉を どうしても見たかったからという
南さつまでも紅葉はなかなか見れるものではないから
沖縄は・・・
それにしても 沖縄からよく来たな~ というと
もうひとつ理由があった
失恋したらしい!
女に振られたから 山に来たのか?
「 はい そうです 」と小さな声で素直な返事が返ってきた
そのやりとりを聞いていた 対面の私と同じ歳ぐらいのお客が
「 よくある話だ 俺も若いころ 何回も失恋して ここに来たことか 」
片手を出し
「 これ以上かな そのたびに穂高に登ったよ 」
「 帰りに上高地の郵便局から 絵葉書を祈るような気持ちで出したもんだ 」
上高地の郵便局から 絵葉書を・・・
「 山の好きな連中なら 思い当たることがあると思うよ 」
私のほうを見て笑いながらいった
そして
「 今はかわいい孫が二人いるよ
     下手な鉄砲も数打ちゃ当たるということさ 」
かわいい孫が二人   俺よりひとり多いのか !
下手な鉄砲? それにしてもうまいこというもんだ
さらにそのお客が
「 山を想えば 人恋し 人を想えば 山恋し 」  これだよと
ゆっくりとひとつひとつ噛みしめながらいった
久しぶりに聞くことばだった
山の帰りに 松本の駅前の土産物店にいくと「 山想えば 人恋し 人想えば 山恋し 」
の額入りの色紙があり 己に重ね合わせたことを 今でもよく覚えている
しばし沈黙の時間が流れる  囲炉裏の炎が揺れる
しばらくするとそのお客が 明日が早いから お先に失礼するよと席を立ち 
「 また沖縄から穂高に来いよ  今度は彼女と一緒にな!」と
沖縄の青年にいうと 部屋から出ていった
時計をみるともう消灯の時間近くになっており 我々もそこでお開きとなった

あくる日は5時の出発予定で 暗いなかを起きだし準備をする
外に出ると真っ暗で ヘッドランプを付けた 
夕べは飲み過ぎたようでまだふらふらしている
「おい おい 大丈夫かい」と自問しながら歩き出す
暗いなかを歩くこと3~40分 徳澤の前で空が白みだした
新村橋を渡り奥又白谷へ 登りが始まり足が重い まだ酒が残っている
奥又白の分岐に着くと 前穂の峻険な岩峰に陽が当たりだした 空が青い
いい天気である これからが本番で急登が続く 気合を入れ直し登りだす
それから2時間余り もくもくと必死で登る
梓川がはるか下に見えるようになり 木々も紅や黄に色づきだした
もう少しである 最後の九十九折の急登を 数を数えながら登る
9時前に屏風のコルに着いた
目の前には真っ青な空に穂高がどーんと聳えていた
前穂高 奥穂高 涸沢岳 北穂高 その下に紅黄に染まった涸沢が
横尾本谷の向こうには槍ヶ岳が天を指して聳えている
なんという眺めであろうか 表す言葉がなかった

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by minnamiya | 2015-10-06 17:34 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

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けんぼうの夢想話
        幸ちゃん奮闘記

9月も中旬になると だいぶ涼しくなった あれほど煩かったセミも 静かになり
夕方ツクツクボウシが 過ぎ去った夏を惜しみ 物悲しく鳴いている
8月の台風15号は久しぶりに強い台風で まだあちこちに爪痕が残っている
その台風が過ぎ二三日してから 幸ちゃんから電話があった 家の屋根の波板が台風で吹き飛んでなくなったから 修理を頼んでくれとのことである
取引先に電話をしたら 台風処理が余りにも多く てんてこ舞いの状態で 何時になるかわからないとのことであった
仕方がないので波板ぐらいなんとかなるだろうと 正守 を加勢にもらい修理に出かけっていった
いつも口だけで仕事をしており 屋根に上がることなどない身である 
屋根におそるおそる上がり へっぴり腰で釘を打つ まず釘を打つのが難しい
誤って自分の指を打つことも何度か
四苦八苦しながら二日がかりでなんとか風雨を防げるようになった

大役を終えたその晩 文化通りの吉祥で だれやめ となった
その日は京都から正ちゃんも来ており 同級生4人でテーブルを囲んだ
4人で会うのは6月のお伊勢参り以来で どうしてもあの同窓会の話になる
店のアルバムの写真を見ながら あーだった こーだったと
奈良伊勢の話がはずみ ビールのお代わりとなる
幸ちゃんは盆前に 大阪の幹事の面々と 甲子園で鹿実を応援して 京都 彦根城 姫路城と 青春18切符で同窓会の反省旅行を楽しんだとのこと
そしてその後 松本から諏訪湖を回り 諏訪湖で大花火を観たという
あいかわらず大忙しの 幸ちゃんの夏である

一息ついてビールから焼酎代わろうとする頃 幸ちゃんが封筒をテーブルの上に出した
四国高松の坂梨由美子さんからで 読ませてもらうと 6月の奈良伊勢の同窓会が楽しかったと お礼の言葉が流れるように見事な文字で書かれてあった
草書にお目にかかることなどなく ところどころ読めない文字もあったが 
文面から感謝の気持ちが伝わってくる
そして香川県の県展で 書の部門で入選したとのことも
彼女は中学校の頃より 書の上手なことで有名で 現在も書の先生をしているという
同級生が今でも活躍していることをきけば まだ俺もと思うものである
中山先生の絵の個展にも感動し 刺激も受けたが 自分の夢を持ちその夢に向かって努力すること
そしてさらなる高みを目指すことは 幾つになっても大事なことである

幸ちゃんは9月の後半に高校の同窓会で静岡の伊東に行くという
そしていよいよ念願の四国遍路の旅に行くことも近いことだろう




猿沢の池からの興福寺五重塔
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薬師寺 修学旅行2題
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二見浦 夫婦岩前
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伊勢神宮
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五十鈴川駅の別れ
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鳥羽彩朝楽からの眺め
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その晩
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伊賀上野 松尾芭蕉生家
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釣月軒  冬籠り またよりそわん 此のはしら の句碑あり
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伊賀忍者
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伊賀上野城   さまざまの 事おもい出す 桜哉 の句碑あり
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by minnamiya | 2015-09-13 18:24 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

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けんぼうの夢想話

         ・・・よ 夢をもて



みんなみの地も5月となり 新緑の季節となった
我が家の庭も若葉がキラキラと輝き 香しい風が渡っていく
昨日同級生たちと中山先生の 旅して日本の風景を描く展 をみに行った

3月のはじめであったが 中山先生から葉書が届き 
なんだろうかと思い読んでみると   
退職後日本のあちこちを旅して 描いた風景画の個展を
初任地であり 想いの深い加世田で開くという 案内であった
最初は 中山先生が絵の個展を? となかなかピンとこなかった
我々には水泳の先生のイメージが強く あの先生が絵を描くとは想像だにしなかった
これまで同窓会のたびにお世話になり お互いの心境を含め
いろいろ話はしてきたが 絵を描いていることはおくびにもださなかった
美術の教師であったから 絵心はあっただろうが
それにしてもどんな絵を描くのか興味もあったり また少々の心配も

個展会場の村原の奥様の実家に行くと
先生が玄関で あの人懐こい笑顔で迎えてくれた 
中に入ると 小さな水彩画から大きな油絵まで 
玄関から 表の間 そして2階まで 所狭しと飾ってあった
近くは竹田神社 野間岳から 倉敷 永平寺 白川郷 
そして北海道の 美瑛 厚岸まで
日本あちこちの素晴らしい風景が いきいきと 丹念に素直なタッチで描かれており
そのひとつひとつ 先生が やや照れながら案内してくれた
それを聞きながら 我々の中学時代 年が近く兄貴的な存在であり
生徒から マンモス鈴木と綽名されていた あの中山先生だろうかと思った
退職して10数年 全部で131点の絵があるという 
その全てを 自分で旅をし 自分の目で見てスケッチし 
キャンバスに向かい 風景と格闘しながら描く 時間と根気のいる作業である
その数の多さに驚くが 絵の道を歩けば 常に高みを目指すものだと思う
先生もこれまで幾度となく迷いや挫折を経験し それを乗り越えて
今回の個展という高みに立っている
これがゴールではないだろうし さらなる高みを目指して また一歩踏み出すのだろう
自分の絵の前に立つ先生から 解き放たれたように 穏やかさが感じられた

その晩はお決まりであるが 先生を囲んで 吉祥 で席を設けることになった
同級生8人が集い 絵のことや 中学時代のことを肴に焼酎がすすんだ
この年になって思うことがある 
人間幾つになっても 夢を持つこと そして実現するために努力することが 
生きていくうえには大事なことである
先生の絵が お前たちも 夢をもって俺以上にキバレと 教えているようだ



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先生の絵を観て
  
  四季の絵に 優しき香 うなづきて  (泰光)
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by minnamiya | 2015-05-02 19:21 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

よもぎを摘んでお伊勢参りに行こう

桜の季節もあっというまに過ぎ 若葉の季節となった
先週の木曜日 4月19日に大阪ドームで開催される関西ファンデーに送る
よもぎ餅用のよもぎ摘みに みんなででかけた 
今回は 春先に行く野間岬ではなく 近くの
こせ で間に合わせることにした
もうよもぎも大きくなっており その日のノルマは午前中で終わり
早々と昼食会となり いつものコンビニ弁当である
その日は昼食会に 幸三 三郎も加わったので
春御膳といういつもとは違う 豪華な幕の内になった
そしてワイワイやりながら 6月のお伊勢参りの話で盛り上がった
お伊勢参りに行くためには大阪ドームで よもぎ餅を1個でも多く売ってもらい
それを飛行機代としたいものである

小学校入る前のことだが いっしょに住んでいたハツガメばーちゃんが
お寺の催しで 京都から奈良の寺を詣で そしてお伊勢を参る
10日近い団体旅行に出かけたことがあった
その頃はばーちゃんといっしょに寝ており
旅行の土産話を 幾晩となく寝つくまで聞かされた
まだ関門トンネルがないころで 連絡船で汽車ごと渡ったこと
京都のお寺の素晴らしかったこと 奈良の大仏と鹿 そしてお伊勢参りのことなど
聞くことが初めてのことばかりで 幼心に強烈な印象を与えた
当時はまだ旅行をすることは大変な時代で 米 味噌持参であったようなきがする
ハツガメばーちゃんにとっては 一世一代の旅行だったに違いない
それに比べ 我々はあまりにも恵まれているようだ
一生に一度はお伊勢参りをというが
私はまだである
南さつまでも江戸時代からお伊勢参りがあったようで
あちこちにお伊勢講の行事が残っている
その頃はどんなコースで どのくらいの日数と費用がかかったのだろうか
それ以上に南さつまの地から お伊勢参りをしたいという 
人々の逞しさに驚かされる
今は行こうと思えばジェット機でひとっ飛びである
もう65になり あの当時のばーちゃんの年に近くなった いい機会である
今度はハツガメばーちゃんの60年前の旅の足跡を辿り
孫に奈良の大仏と鹿 そしてお伊勢参りの話をしたいと思っている


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by minnamiya | 2015-04-11 18:11 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

花 見

昨夜の花見の余韻の残る中 朝ネットで新聞のコラムを読むと
人生 勝ちつづける 負け通しと いうことはないことと
箪笥の奥にしまっていた 小さな鍵のこと
今の時期ならではの ピットくる文に出会い
おのれの半生に重ねてみたり ゆうべの同級生の顔を思い浮かべたり

今年の桜は開花宣言は早かったが そのあとのあゆみは遅く
花見に間に合うだろうか ヤキモキした
昨夜窓の外の桜は なんとか見れる程度の3分咲き
机の上には 初物のタケノコをはじめ 御馳走が
関東組3人を加え総勢17人
しばし花と酒の宴を楽しむ
その様子をご覧ください

追記  
6月の大阪での同窓会この中から
10名ほど参加予定
みんなお伊勢参りを楽しみにしているそうです



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by minnamiya | 2015-03-29 15:40 | ふるさと雑感 | Comments(0)  

ふるさと雑感

けんぼうの夢想話

野間岳

24日の土曜日  天気も良さそうなので   野間岳に登る計画をたてていたら
ちょうど出かける前に友人が訪ねてきた
これから野間岳に登るつもりだというと 俺も連れて行ってくれとなり
友人も一緒に登ることになった
山にあまり馴染みのない友人であり 野間岳に登るのも初めてである
その友人に何かサプライズ もてなしはないだろうかと考え
BSの山の番組で  山頂でコーヒーを沸かして飲むシーンが出てくる
おっ あれだとおもい
急遽  学生の頃使っていたコンロを  納戸の奥から探し出し 
灯油を入れリュックに詰めた そしてドリップ式のコーヒーも

その日は絶好の登山日和であった
野間岳の中腹にある  野間神社に車を止め  登り出す
よく整備された登山道が続く  第一展望台あたりから  友人が遅れだした  
山登りは自分のペースで登るのがベストである
友人はゆっくりと自分のペースで登って来るだろうとおもい
私は先に登っていった
山頂直下が鎖がついてやや急だが  約40分ほどの登り
山頂に着くと  パット  視界が開ける
うらうらとした陽射しのなか やや霞んではいたが  目の前には東シナ海  
そして毎年3月のはじめ みんなとヨモギ摘みに出かけて来る 野間岬
しばし  591.1m    1等三角点の眺望を楽しむ
暫くして  下の方から人の気配がする  友人かなとおもっていたら
登って来たのは若い夫婦の登山者であった
二人に友人のことを尋ねると  
だいぶバテテいましたよと   奥さんの方が笑いながら答えた
バテテいた ?  
彼は昨夜 酒飲み友達と  よく行く食堂からカラオケスナックまでの
お決まりのフルコースで  魔の金曜日だったらしい
そのうち登ってくるだろうと  お湯でも沸かしながら待つことにした
リュックからコンロを取り出し  組み立て  ポンプを押す
押すけど  スースーと音だけして圧がかからない  外してみると
弁がカラカラに干からびている  無理も無かろう  何十年ぶりに使うのだから
手を油まみれにしながら  中の灯油を弁につけ  なんとか圧がかかるようになった
ノズルから燃料がこぼれ  いざ火をつけようとしたら  マッチがない 
マッチがないとお手上げである  
仕方がないので タバコを吸う友人を待つことにした
待つこと数分  やっと友人が青息吐息で登ってきた
山頂の岩にどかっと腰を下ろし  開口一番  ダレター

友人が一息つくのを待つて  ライターを借りる
しかしこんどは  湯沸かし用の鍋をかける  五徳がない  
代わりになるような石を探すけど  適当な石も無い  万事きゅぅす
我々シルバー組の苦戦ぶりを見兼ねてか
若い夫婦の旦那の方が  お湯を沸かしてあげましょうかと
リュックから最新のガスコンロを取り出し  さっと火をつけ  お湯を沸かしてくれた  
感謝
コーヒーにお湯をそそぐ  ふくよかな香りが漂う   至福の時が流れる
ビールでの乾杯もいいものだが  山のコーヒーもいいものである

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野間岳より野間岬


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スヴェア


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加世田川畑からの野間岳

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by minnamiya | 2015-01-26 11:45 | ふるさと雑感 | Comments(0)