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ふるさと雑感


けんぼうの夢想話

山の辺の道


 山の辺の道は日本で最も古い道といわれている 3月の初め東大寺の修二会(お水取り)をみたあくる日 貞則とその山の辺の道 天理から桜井までの約16kmを歩いた 

天理の駅に私の方が早く着き 貞則を待つことだろうかと迷ったが 
携帯もあることだし そのうちに追いつくだろうと 石上神宮の方へ先に行くことにした 

石上神宮は鬱蒼とした大樹の中にあり 時間が早いせいか丹念に掃き清められた境内には誰もいない

やや小ぶりではあるが檜皮葺の瀟洒な楼門 拝殿が見事なものである

拝殿は国宝に指定されている ここにはもう一つ摂社出雲建雄神社の拝殿も国宝である
しばらく二つの国宝を観ながら石上神宮の境内をうろうろしていると貞則が参道をホイホイとやってきた

その日は少々風が肌寒いものの 昨日とはうってかわって 空には青空が広がっている


お水取りに行く前 奈良の町で 貞則 正明 定夫とテーブルを囲み
焼き牡蠣を肴にビールを飲んだ 
目の前の山もりの牡蠣を見ながら 
ついこのあいだ文化通りの友達連中と 牡蠣小屋に行ってビールを飲もうと 盛り上がったばかりで 
それが海のない奈良のど真ん中で実現するとは

貞則 正明 定夫とは中学2年の時同じクラス5組であった
ケネディ大統領暗殺のニュースが海の向こうからから飛び込んできた年で 
その時のくりくり坊主の少年たちが50数年後 奈良のど真ん中で 
牡蠣を肴にビールとは   面白いものである
その日は春何番かの荒れ模様の天気で ビールから焼酎になる頃には外は土砂降りになった
こりゃ こりゃ わぜっか雨と風じゃっど お水取りに行かでくどかい と みんなが私を脅かす 

こんなこともあろうかと 今回は山用の雨具 靴 ダウンの防寒着と雨はもとより雪が降ってもいいように完全装備をしてきた


この1~2年 暇があれば歴史紀行ものをよく読んでいる

わが国の歴史をかたるには どうしても大和からになってしまう 

早い時代は史実としては曖昧なところが多く想像の世界になるが それゆえロマンを掻き立てるのかもしれない

今回は山の辺の道を歩き 万葉の時代を感じてみたかった 

それと日本で最古の神社といわれる 大神神社(三輪神社)とそのご神体三輪山を見たかった


軽トラックがやっと通れる山裾の田畑のなかの道を歩いて行く 
まだ季節が早いのか行きかう人も数えるほどである 

山の辺の道は石上神宮 三輪神社などの社寺や あちこちにある古墳群と 

歩くだけでなく 見るほうもいそがしい 
それにしても古墳の多いこと なかでもヤマト王権の創始者といわれる 
崇神天皇陵(行燈山古墳)は 馬鹿でかい前方後円墳である
山といっていいほどの大きな
丘の周りを濠がぐるっと囲んでおり 
これが墓かとその大きさに驚く 

それよりもすぐ近くにある日本武尊の父親といわれる景行天皇陵(渋谷向山古墳)がもう一回り大きいらしい

ここにはそんな馬鹿でかい墓を 造れるだけの人と財力と権力があったのだろう
そしてその必要性があったということだろうか

ヤマト王権は天孫系の崇神天皇勢力による征服王権であるという 

もともと三輪山の麓には天孫系と違う勢力が住んでおり 三輪山をご神体として崇めていたようだ 
その既存の勢力を崇神天皇勢力が 他所からきて攻め滅ぼし 新しくヤマト王権をおこしたという

崇神天皇陵のすぐ上にある小高い場所から大和盆地が見渡せ 奈良から明日香までと

ずいぶん広いものである その左の方に大和三山が幽かに見える 

大和三山を遠くに見ながら 大和は国のまほろば ということと 
この国の覇権を巡る争い 乙巳の変や壬申の乱などが

千年以上前 この地であったことを思った

それだけ大和盆地は人々の溢れるエネルギーを溜めるに適していたということだろう


山の辺の道は案内標識はあるが 迷う所もあり 思った以上に時間がかかった
貞則といろんな史跡が現れるたびに あ~だ こ~だといいながら歩く

大和の古い時代のことから 薩摩のこと 加世田 川畑 舞敷野の話と 
とりとめのない話が続く 

そして孫の話もでてきた 

先ほど貞則に電話があったが 孫のことだったらしい 孫が保育園で熱がでたからカミさんが迎えに行ったという

またこんなことも 中学校の2年の時11組に恵美ちゃんというショートカットのかわいい娘がいただろう あの娘が好きでな あの娘は卓球部で おれは剣道部だったから講堂で剣道の練習をしながらよく球を拾ってやるものだった

へぇ~ 貞則にもそういうことがあったのかと 初めて聞く話である

顔を見ると少し照れているようだった……

そして貞則が あの時代この辺りに生まれていたら 崇神様に朝から晩まで穴掘りにこき使われて 焼酎でダレヤメどころじゃなかったかもしれんな と……

たしかに朝から晩まで崇神様に穴掘りにこき使われていただろうと思いながら

お互いに剣道ができたり 野球ができたり また牡蠣を食いながら旨いビールを飲めることを感謝したいものだ


三輪山はこんもりとした品のいい山で まさに神備山である
山の辺の道もあとひと月もしないうちに あちこちの山肌に桜が咲きそして しらたえの 衣ほしたる 天香久山 の季節も近いことだろう





東大寺二月堂
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石上神宮
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内山永久寺跡
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菜の花と大和盆地
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山の辺の猫2匹
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山の辺の道と三輪山
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大和三山を望む
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三輪神社
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by minnamiya | 2018-03-22 17:22 | Comments(0)  

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