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ふるさと雑感

けんぼうの夢想話


           青いレモン

 
 11月の最終の日曜日 私の住んでいる川畑校区の文化祭が

小学校の体育館であった

10数年前から 地域を元気にしようと 校区の文化祭と

小学校の学習発表会(学芸会)をいっしょにするようになった

始めた頃は出演者も多く 私の所属する商工クラブも

バザーと寸劇の役割を担っていたが 10年ほど過ぎたころ 

バザーがなくなり 文化祭から遠のいてしまった

今年は川畑小学校が創立140周年ということで

花を添えようと 商工クラブも踊りで参加することになった

踊りは明治維新150年 そして大河ドラマ せごどん にちなんで 

かつて西郷輝彦が歌っていた青年おはら節である 

当初はメンバー男6人と踊りの先生・アッちゃんと7人で踊る予定だったが 

2.3回練習するうちに いつのまにか劇仕立てとなり 

私の女房とキヨタカさんの奥さん・マユミさん2人が 

露払い役で出ることになった


当日体育館の舞台の下の倉庫で 舞台衣装に着替える 

黒いタイツといいたいところだが ジヤージに 黄色い派手な法被 

それに紅い帯をまき 頭には菅傘 手には鳴子

それだけで雰囲気が出てくる 馬子にも衣装とよく言ったものだ

出番まで少し時間があったので 子供たちがどんなことをするのか見てみたくなり

舞台の袖に上がって行った 

カーテンの隙間から見ると 器楽演奏 マーチングバンドらしい 

20数名いるだろうか 低学年を除いて全員参加のようだ
帽子にオレンジのスカーフ おっ きまっている

演奏が始まる 迫力のある音が響く 太鼓が小気味よいリズムを刻み 
将来はアート・ブレーキ―かエルビン・ジョーンズかと

思うほど上手いものであった

その演奏中 小太鼓の4年生ぐらいの男の子が 私にきづき 

おかしな格好をした爺ちゃんが見ていると 私を見てにたっと笑った

どこの子か知らないが こらっ よそ見をするな!と思わず口に出る

それにしても我々の頃の カスタネット タンバリン トライアングル

木琴 バンドとは大違いである

子供たちのマーチングバンドの後が いよいよ我々の出番で

幕が開き 露払い役の二人が出て行く ふたことみことの掛け合いがあり

その後が踊りである 舞台に出ると会場の視線を感じ しばし緊張する 

会場を見ると 思っていたより観客が多い

簡単な踊りではあるが 2.3回の練習で上手に踊れるものではなく 

アッちゃん先生を横目で見ながら 3分あまり四苦八苦しながら踊る

やっと終わった ホッとする  


その晩はお決まりの反省会(のんかた)である

踊りに参加したメンバー全員が 公民館で鍋を囲みながらワイワイやる

ビールが旨い 終わったという安堵感と少しの達成感がみんなを包む

酔いが回るにつれ 話がはずみ 
踊りの先生・アッちゃんが 「あたいが4年の時じゃった 
80周年の祝えが講堂であって みんなで遊戯をしたが 
見てが多かって 講堂に入りきれんばっかいじゃった」 

するとキヨタカさんが 「アッちゃんが4年なら おいは5年 マユミが1年生か

たしかナゲドン(長井菓子店)の紅白のモシコ(型菓子)をもろたきがすっ
マユミは覚えちょらんか?」
マユミさんが「学校へ入ったばっかいで よく覚えちょらん」と首を横に振る

キヨタカさんとマユミさんは夫婦で 

家は唐仁原病院の下の 道路を挟んで上下であった

いわゆる4ツ違いの幼なじみで 青いレモンの味がする間柄である

そんな二人が60年後 孫といえる子供たちの前で踊りをするとは
面白いものである
二人とももう青いレモンとはいえず ダイダイになってしまったが
………

とりとめの話が続き 楽しい晩が更けていく


私のまわりの他愛もないことだが
マスコミを賑わしている 世界をまたにかけた 

数十億円のゴーンさんと比べたら

なんと ささやかな はなしであろうか


   ダイダイも 青い時あり 秋深し  (健)




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by minnamiya | 2018-12-12 20:17 | Comments(0)  

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